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New RelicとAxiom、Observabilityの「完成品」と「データ基盤」

New RelicとAxiom、Observabilityの「完成品」と「データ基盤」

まとめ

  • New Relicは、APM、ログ、トレース、メトリクス、ダッシュボード、アラートが一体化した、人間が運用監視するための完成品Observability
  • Axiomもログ・トレース・メトリクスを扱えるが、telemetryの保存・検索・分析基盤に近い設計で、人間向けの監視UXへの投資は相対的に薄い
  • Axiomが安いのは、UIが無いからではなく、列指向ストレージと高圧縮でtelemetryの取り込み・保存コストを下げる設計に振っているから
  • Devinのようなコーディングエージェントが調査プロセスを代替し始めたことで、安価なデータ基盤単体でも運用が成立しやすくなっている

New Relicの請求書を見て、月の費用に驚いたことがある人はそれなりにいるはずだ。 一方でAxiomのようなサービスは、同じようにログやトレースを扱えるのに、桁が違うほど安い。 この差は、機能が少ないから安いという単純な話ではない。 両者は、そもそも売っているものが違う。

New Relicが担ってきたもの

New Relicは、APM、Infrastructure監視、ログ、トレース、Browser/Synthetics、アラートまでを一つの契約でそろえたSaaSだ。 障害が起きたとき人間が辿る調査の動線が、そのまま製品として実装されている。 ダッシュボードで異常に気づき、APMで遅いトランザクションを絞り込み、トレースで該当スパンを特定し、ログで詳細を確認する。 見る、絞り込む、原因をつかむ、という一連の流れを迷わず辿れるように設計してあるのがNew Relicの価値であり、価格にもそのまま反映されている。

Axiomは何が違うのか

Axiomも OpenTelemetry経由でログ、トレース、メトリクスを受け取り、ダッシュボードやモニターも一応持っている。 だが製品としての重心は違う。 telemetryを大量に安く取り込み、クエリ言語(APL)で検索・集計できる基盤を提供することに寄せてある。 人間が眺めて異常に気づくための相関分析や、New RelicのようなAIOps層は薄い。 その代わり、列指向ストレージと高い圧縮率で取り込みコストを大きく下げている。 UIが貧弱だから安いのではない。 「人間が常時ダッシュボードを監視する」という前提を製品設計から外したぶん、データ層の効率に投資できている、と捉えたほうが正確だ。

表1: New RelicとAxiomの設計思想の違い

観点 New Relic Axiom
位置づけ 完成品のObservability telemetryのデータ基盤
厚い層 相関分析、AIOps、ダッシュボードUX クエリ言語(APL)、API、取り込みコスト効率
想定する主な利用者 人間がダッシュボードを常時監視 API/クエリ経由(人間もエージェントも同じ入口)
コスト構造 機能バンドル込みの従量課金 列指向ストレージ+高圧縮で取り込み単価を下げる

調査の主体が人間からAIエージェントに移る

従来のObservabilityは、アプリケーションからNew Relicにtelemetryが流れ、ダッシュボードやAPM、ログ、トレースを人間が調査し、GitHubを確認して修正する、という一直線の動線だった。 ここでDevinのようなAIコーディングエージェントを調査の主体に据えると、構成が変わる。 アプリケーションからOpenTelemetryでログを流し、Axiomに貯め、Devinがログ検索、トレース解析、メトリクス解析、GitHub確認、原因推定と修正までを担う。

人間向けに整形されたダッシュボードを経由せず、Axiomのクエリ言語やAPIから直接telemetryを引けるほうが、エージェントにとってはむしろ扱いやすい。 New RelicのNRQLでも同じことはできるはずだが、製品思想として人間のダッシュボード操作を前提にUIが厚く作られている分、エージェント経由の生クエリ運用は後付けになりやすい。

変わるのは調査、変わらないのは検知

ここで変わるのは、調査から原因推定、修正提案までのフェーズだ。 何をアラートとして発火させるかという異常検知の設計は、そのまま残る。 AIエージェントは基本的に、呼ばれてから調査する。 常時ダッシュボードを凝視する役割そのものを代替しているわけではない。 この区別を曖昧にすると、AIエージェントを入れたから監視は不要になる、という誤読につながる。

小規模チームにとっての意味

New Relicは完成品のObservabilityを買う選択で、Axiomはデータ基盤を買ってAIエージェントで調査機能を補う選択だ。 固定費の高いSaaS契約を、AIエージェントのトークン代という可変費に置き換えられる余地がある、という話でもある。 個人開発や少人数チームでNew Relicの月額が重く感じるなら、telemetryの取り込み先をAxiomのような基盤に変え、調査の一次対応をAIエージェントに任せる構成は検討の価値がある。

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