新しいチームで最初の90日間をどう過ごすか — 即動く派の振り返り
概要
「90日間は、何もするな。」というリーダーシップの考え方がある。元ポストでは、ハーバード流マネジメント講座「90日で成果を出すリーダー」を引用しつつ、新しい組織に入った際の最初の90日間で実践すべき4つのことが紹介されている。自分は真逆の「即動く派」だが、過去の経験を振り返ると学ぶことが多かった。
元ポストの要点
- ビジネス全体を理解する — 財務数字(人件費・値引き額)から組織の状態を把握する
- ステークホルダーを理解する — キーパーソンは誰か、どんな言葉が禁句かを観察する
- 期待を把握する — メンバーの声をキャッチし、小さく動いて信頼の種をまく
- 文化に適応する — よそ者であることを自覚したまま、組織の文化を観察する
「動かない」のではなく「観察している」。変えるのはいつでもできるが、信頼を積み上げる時間は最初しかない、という主張。
即動く派として思ったこと
自分のスタイルは、プロダクトの内容を素早く把握し、過去の経験を当てはめて提案・共有するというもの。以前あるチームに参加した際も、このやり方で進めた。
結果として、あまり受け入れられなかった。
受け入れられなかった構造
振り返ると、いくつかのシグナルがあった。
- 「前の人もやろうとしたけど…」 という反応が多かった。変えたくないのではなく、過去に変えようとして失敗した経験、あるいは変えようとした人が定着しなかった記憶があったのだと思う
- 詳細に聞くと曖昧になる — 表面的には教えてくれるが、深掘りすると言語化できない領域がある
- 外の事例が通じない — 「他のプロジェクトでは違いますよ」と言っても響かない。比較対象を持っていない人に比較の話をしても、受け手の解像度が追いついていなかった
これは拒絶ではなく、ローカルルール(暗黙知)が論理より優先される文化だった。そしてチーム全体として経験が浅く、「今のやり方がおかしい」という認識自体がなかった。疑問すら出てこない状態。
こうすればよかったかもしれないこと
振り返ると、別のアプローチがあり得た。
- 提案ではなくペアワーク — 言葉で伝えるのではなく、一緒に手を動かして体感させる
- 許可より実物 — 「こうすべき」ではなく「やってみたらこうなった」を先に見せる
- 権威構造の活用 — 経験の浅いチームでは「誰が言っているか」が「何を言っているか」より重きを持つ。役職者との関係性を先に作っておけば、提案が通りやすくなった可能性がある
自分のスタイルの制約条件
ここから見えてきたのは、自分のスタイルの制約条件だった。
- 即動く・せっかち → 実行力はあるが、ペアワークのような時間がかかるやり方にはもどかしさを感じる
- 尊敬できない人とは付き合いたくない → 合理的だが、政治的な動きとは相性が悪い
- 権威構造を活用するルートが見えにくい → 後ろ盾を作るという戦略が取りづらい
これは弱点というより、自分が機能する環境の条件。無理に合わないやり方をしても消耗するだけ。
学び
90日間の観察型が唯一の正解ではない。即動く型にも強みがある。
ただし、自分のスタイルが活きる環境かどうかを見極めることは必要だった。
- 経験豊富なメンバーがいるチーム → 提案の価値がすぐ伝わる
- 上長が尊敬できる人物 → 自然と関係構築ができる
- 外の知見を求めているチーム → 即動くスタイルが歓迎される
「どう振る舞うか」の前に「どこで振る舞うか」。環境選びもリーダーシップの一部なのだと思う。